植物好きのお父さんへ 父の日に心安らぐビカクシダ
ビカクシダは樹木に着生するシダ植物の仲間で、シカの角のように大きく広がる葉(胞子葉)と、株元に張り付くように成長する葉(貯水葉)からなる独特な草姿が魅力的な植物です。ビカクシダは東南アジア、オセアニア、アフリカ、南米の熱帯地域に広く分布しています。樹木に着生して葉を広げる様子が、近年個性的なインテリアグリーンとして人気を集めています。ビカクシダの多くが自生する熱帯地域は、気温が高く乾燥する乾季と、雨が多く湿度の高い雨季が数か月おきにやってくる過酷な環境です。そんな環境下でも育っていくためにこのような独特の姿に進化したと言われています。
独特の姿からは想像できないくらい育て方は意外にも簡単です。もともと着生植物のビカクシダは多くの肥料を必要としません。雨のほとんど降らない乾季のある地域に自生するため乾燥にも強く、水のやり忘れの心配も少ないです。ただし、生育期にはしっかりと水やりが必要です。室内管理の場合どうしても風通しが悪くなるので、サーキュレーターなどで部屋全体の空気を動かすようにすることで蒸れと虫の発生の予防になります。春から秋の高温期にはベランダなどの屋外で管理するほうが、生育も良くなります。ただし夏の直射日光には注意が必要です。軒下の日陰や寒冷紗などで光の量を調節してあげましょう。
コルク板などに着生させた板付の状態をみかけることが増えましたが、鉢植えで育てることももちろんできます。鉢植えの方が、根が乾燥しにくいという利点があり、初めての方にはオススメです。ただ、鉢植えだと貯水葉がうまく育たないことが多く、ビカクシダ本来の美しい姿にならないこともあります。厳しい環境に適応した美しい姿を楽しむためには板付の方が適しているといえます。置き場所や飾り方などによって好きなかたちで育てることができます。
人気の高まる近年、とても多くの品種を見かけるようになりました。品種や株ごとにそれぞれに違った魅力のある個性的なビカクシダ、鉢植えや板付けなどカッコ良いアレンジで、父の日の贈り物にしてみるのはいかがですか。